コンテ作家・アニメ演出家 ヤマトナオミチさんインタビュー

 ←<前回はアニメの演出についてお話を伺いました>
- Q13. では、次に絵コンテについてお伺いします。まず、漠然とした質問で申し訳ないですが、ヤマトさんにとって絵コンテとはなんでしょう? -
A13.
 画コンテは人にとって色々な考えかたがありますが特に自分が身近に感じる画コンテとして考えると、五点のポイントがあります。
一つは一番良く言われている映像を作る為の設計図であり各スタッフへの発注書と言うことです。
二つ目はクライアント、監督、プロデューサーに対するプロモーション、所謂シナリオを元にした企画書ということです。
三つ目は見積り書と言う意味合いとして、シナリオを元に打ち合わせで挙げられた内容だとこう言う内容が想定出来るということです。
四つ目はアフレコ台本を作成する為の元原稿の素材です。
五つ目がスケジュールが無い時の編集及びアフレコ用の素材の元です。
- Q14. 思っていた以上に多くの意味合いがありますね。それら全部の意味合いについて常に頭にいれて絵コンテを描かれているんでしょうか? -
A14.
 これは「絵コンテとは何か」ということの自分なりの答えであって、絵コンテを描く際に意識していることとは別です。絵コンテを描く際には、これらの前提はありながら、まずは発注先がどういうモノを望んでいるか、その中でより観る人に楽しんでもらうにはどうすれば良いかを考えていますね。
- Q15. では次に、具体的な絵コンテの作り方についてお伺いします。例えば、「ヒーローが敵を斬る」シーンを描くとして、俯瞰でヒーローが敵を斬ってるシーンにするのか、ヒーローの視点で敵を斬るシーンにするのか、敵の視点でヒーローに斬られるシーンにするのか、絵コンテの人が考える事って、そういう事かなって思うんですが、一つのシーンを描く時に、どんな事考えて絵コンテを描くんでしょう? -
A15.
 本来はそのようにたった1アクションだけで考える訳ではなくアングルなどはシリーズ全体やその話数に対するそのシーンの意味合いによって考えることになります。
 その文面だけで考える場合、俯瞰でアクションを撮ると言う事は通常は客観か説明的な意味合いが強いです。ただ、俯瞰とは言っても接写した俯瞰アクションは逆に客観というより不安定さを強調した印象も出ます。
 誰かの視点となると通常はそのまま、つまりその人の視点という意味合いもありますが、他にもしそのシーンのアクションがそれのみなら、わざとそのキャラクターを見せない事で視聴者の興味を誘導するという効果もあります。
 例えが出ているのはそれだけなのですが、そのアクションを全体が見える1カットで撮るか数カットで細かく分けて撮るかとか、全てに意味合いが発生します。
 こういうカットの意味合いや表現を考えてコンテを作成することが楽しい事だったりします。
- Q16. 言われてみると、アニメを観て受ける印象が創り手の意図によるものなんだなってことがよくわかりますね。まさに、「アニメを知ることで、アニメはもっともっと楽しくなる!」といった感じです。では、次に、絵コンテ作業の楽しさについてお伺いします。「こういったオーダーは嬉しい、腕がなる、画コンテ作業を最も楽しめる」みたいなオーダーってありますか?-
A16.
 それは特にないですね^_^;
絵コンテ作業は常に模索の世界で、苦しくもあり楽しいものですから。常に苦しみ、楽しんでます。あるとすれば一緒に面白い作品作っていきましょうっていうオーダーかもしれませんね。
- Q17. 例えば作品のジャンルでの選り好みなんかも特にないと?-
A17.
 メカ作品ならメカ作品としての楽しさ、アクション物ならアクション物、恋愛ものなら恋愛ものとしての創作の楽しさがありますから。
- Q18. では、実際の作品作りにおいて、観る人を楽しませるためにこんなことを考えて画コンテを描いた、みたいなことって言えたりしますか?-
A18.
 以前、原作物で特番として長尺で作られた作品について、テレビシリーズ20分用にシナリオをまとめたものの絵コンテを担当したことがありました。安易に考えると、以前作られた物をそのままチョイスしてしまえば楽な仕事になってしまいますが、より面白くなるように、以前の時には出来なかった3Dの表現を指定したり、現実にある街を舞台に指定したりしました。
 また以前の表現よりもっと盛り上がりのシーンを強調したりしました。
 その時はスケジュールの都合で演出は別の方が担当されたのですが、演出の方の力もあり好評で、自分の仕事としても満足な仕事になったと思っています。
 ※ヤマトナオミチさんのインタビューはまだ続きます。随時掲載していきます。
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